ブログ

玄関マットの清掃は感染予防に有効?

玄関マットの清掃は感染予防に有効?

開店前の大手家電量販店入り口で、数人が一生懸命玄関マットや床にスプレーを噴霧し除菌作業してました。制服姿の女性店員の作業姿は大変そう。
そしてシンプルな疑問。そのマットにどの程度ウイルスがいるのか?そしてマットの除菌は感染予防に有効なのか??関連する情報を調べてみました。

少し古いですが、Emerging Infectious Diseases(EID Journal)という感染症に特化した科学雑誌に、記事(2020年,中国武漢の病棟内における重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2のエアロゾルおよび表面分布)が公開されていました。
感染拡大の防止および医療従事者の感染対策といった安全対策の改善のために,新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が病棟内にどのように分布しているのかを調査したとのこと。果たして汚染状況の実態はどうなっていたのでしょうか。

サンプリングは2月19日から3月2日にかけて行われ、調査対象は,重症患者15名が収容されたICUのある隔離病棟と軽症患者24名が収容された一般病棟です。
調査対象物の表面を綿棒でふき取り,検体とします。
空気中の場合はエアサンプラーという装置を用いて対象空間の空気を採取,空間浮遊物(エアロゾル)を膜に収集したものを検体とします。
検体からコロナウイルスのゲノム(遺伝情報)であるRNAを抽出し、いわゆるPCR法によって検体中(綿棒あたりあるいは空気1Lあたり)のウイルス遺伝子数を定量します。

このPCRでは2つのコロナウイルス遺伝子を検出対象としており

2つの遺伝子が検出された場合を陽性、片方の遺伝子が検出された場合を弱陽性としています。結果をまとめました。汚染病棟のウイルス汚染状況調査により、以下のことが示されました。

・一般病棟、隔離病棟ともに、ドアノブや手すりからウイルスが検出された。
・隔離病棟においては、医療従事者の防護具からも高い濃度でウイルスが検出され、その2箇所が接触感染のウイルス源となっている可能性がある。
・床面に多くのウイルスが存在し、空気中の浮遊ウイルス源となっている可能性がある。
・ウイルスは靴底に付着し、行き来する床面に汚染を拡大させている可能性がある。
・ウイルスは排気口フィルターに集積していた。

 一般的な室内環境とは汚染状況は全く異なりますし、PCR法では不活化したウイルスを検出している可能性があるので、示されたデータや結果を一般環境にそのまま当てはめることはできません。
しかし,思いのほかウイルスは床に降り積もっていることがわかり、一般的な床面においてもごくわずかながらウイルスは存在していると考えられます。

いずれにしても床面を清潔にすることは、感染予防に繋がるといえる、ということは、今朝見た大手家電量販店の懸命な玄関マット清掃も有効なのだと思います。
そこにプラスα、「靴底の除菌」や「ドアノブや手すりの除菌」も入れたら、より良いのかもしれませんね。