ウイルスは生物か?実は、ウイルスは自己増殖が出来ないため、生物ではないといわれる事があります。以前お話した細菌・菌類は、水や栄養といった適度な条件があれば、自分の力で増殖することができます。しかし、ウイルスはDNAやRNAのような遺伝子と、それを囲むタンパク質の殻しか持っておらず、自分の力で増殖する事ができません。
それでは、ウイルスはどのようにして増殖するのでしょうか。ウイルスは、自分を複製するための遺伝子は持っています。しかし、その遺伝子は他者の細胞に感染しない限り、実際に複製を行うことが出来ないのです。遺伝子を複製のための設計図とすると、他者の細胞はそれをつくるための設備ともいえるでしょう。感染する細胞は様々で、動物細胞はもちろん、植物細胞や細菌細胞にも感染し、増殖します。ウイルスは自分の力では増殖できないため、生きた細胞に寄生して、細胞が増殖の為に使用する遺伝子材料やタンパク質を利用して増殖するのです。また、全ての細胞に感染して増殖できるわけではなく、自分に合った種類の細胞にのみ、感染が可能になります。
ウイルスにも様々な種類があります。身近では、主に冬場に猛威を奮う、インフルエンザウイルスやノロウイルスではないでしょうか。また、2019年の新型コロナウイルスの出現によって私たちの生活が一変したことも、まだ記憶に新しいですね。また、「新型」ではないコロナウイルスは、昔から存在が知られているウイルスで、一般的な風邪の症状の原因となっています。実は、これら3つのウイルスは、2種類に分類されています。それは、「エンベロープウイルス」に分類されるインフルエンザウイルスとコロナウイルス。一方は、「ノンエンベロープウイルス」に分類されるノロウイルスです。エンベロープウイルスとノンエンベロープウイルスの違いは何でしょうか。
例えば、インフルエンザウイルスやコロナウイルスは、DNAまたはRNAがタンパク質に包まれておりますが、更にそれがエンベロープと呼ばれる「脂質」に包まれています。一方で、ノロウイルスはその脂質を持っていないため、「ノンエンベロープウイルス」といわれています。
このことによって、実際のウイルス不活化のし易さも異なってきます。さて、インフルエンザの様なエンベロープウイルスと、ノロウイルスのノンエンベロープウイルス、どちらの方が不活化し易いのでしょうか。実はこのエンベロープ、脂質であるが故に柔らかく、比較的壊れやすいのです。一方、ノロウイルスはDNAを囲む殻が硬く、中々壊れにくいため、一般的にはインフルエンザよりも不活化がしにくい、といわれています。
例えば、通常の中性アルコールでは、こういったインフルエンザやコロナウイルスは不活化できても、ノロウイルスは不活化出来ないといわれています。
また、ノロウイルスは、試験用に扱うことが非常に難しく、代替ウイルスである「ネコカリシウイルス」が一般的に使用されています。こちらもノンエンベロープウイルスなのですが、Pal-Feel(パルフィール)は、アルコール濃度が30%で低刺激にもかかわらず、銀系抗菌剤を含有していることで、エンベロープウイルスだけではなくノンエンベロープウイルスも不活化することを確認しています。